戸田城聖の後を継ぎ、創価学会第三代会長となった山本伸一の峻厳な「弟子の道」が綴られている。日蓮大聖人の仏法のヒューマニズムの光をかかげて、世界を舞台に繰り広げられる民衆凱歌の大河小説。
(聖教ワイド文庫もあります)
●著者/池田大作
●出版社/聖教新聞社
●発行年月日/2007年11月16日
●ISBN/9784412013704
●サイズ/四六判・上製
●ページ数/424
【目次】
本陣/希望/民衆城/緑野
【各章の概要】
【本陣の章】「広布第二章」のスタートとなる1973年(昭和48年)は、「教学の年」(別名「青年の年」)。前年に、恩師・戸田城聖の遺言である正本堂建立を実現した伸一は、仏法の哲理を時代精神にするべく、先頭に立って教学の深化を図るとともに、広く社会への展開を決意。「広布第二章」とは、仏法を基調とした本格的な社会建設の時代への開幕であり、「新しき開拓」を意味した。伸一は『大白蓮華』で、てい談「生命論」の連載を開始。また、「仏教大学講座」の創設を発表。その担い手は青年たちだった。2月18日の第21回男子部総会、女子部総会、学生部総会、初の九州青年部総会が相次いで開催され出席した。その際、伸一は、「師弟の道を歩め」と指導。仏法を社会に大きく展開していくのは遠心力、その遠心力が強くなればなるほど、仏法への求心力が必要。その求心力の中心こそが、師弟不二の精神であると訴えた。
また、伸一は1973年の年頭から“盤石な本陣たれ”と記念撮影等を通し東京各区に全力を注ぐ。人材育成の模範を願って兄弟会も結成。練馬(1.21記念撮影)、中野(2.4中野・青少年スポーツ大会)、港(2.11弁論大会、記念撮影)、世田谷(3.4現代農業展、記念撮影)、千代田、杉並(3.18青年スポーツの集い、記念撮影)、目黒区(3.29)、第二東京(3.31幹部会)などで記念撮影し激励。
【希望の章】“教育は、わが生涯の最後の事業”と、伸一は教育に全精魂を傾けていく。1973年(昭和48年)3月、創価学園の第3回卒業式、4月には第6回入学式。さらに9日は創価大学の第3回入学式。そして11日には、待望の大阪府交野市に開校した創価女子中学・高等学校の第1回入学式。21世紀の女性リーダー育成という、伸一の夢が結実した学び舎だ。伝統・平和・躾・教養・青春の5項目を永遠の指針とし、良識・健康・希望がモットー。創立者は、寸暇を惜しんで生徒たちと対話。手作りで学園建設に取り組む。9月には第1回希望祭。そして同窓会の「蛍会」が誕生。1期生が卒業するまで、できる限り学園に足を運び、彼女たちの胸を黄金の思い出で満たそうとする伸一。「時を逃せば飛翔の力を与えることはできない。今、やるべきことを全力で行うことだ」。時間を割いて学園を訪れた。そして3年後、第1回卒業式は、社会建設の使命感にあふれる乙女達が旅立った。
この章では、創価女子学園が開校。伸一夫妻の慈愛に包まれ、乙女達は希望に燃え、伸び伸びと成長していく姿が描かれている。
【民衆城の章】教育に情熱を傾ける一方、広布の最前線で激励の日々を送る伸一。その胸中には、権力の魔性と戦い続けた青年時代の日々が去来。1957年(昭和32年)7月、伸一の身に不法逮捕。大阪事件。民衆勢力の台頭におののく国家権力の迫害だ。学会の正義と真実を師子吼。翌月の8月、夏季の弘教闘争で東京・荒川区で指揮を執り、二百数十世帯の折伏が実る。さらに、恩師・戸田城聖が、75万世帯達成を宣言した墨田の地から、新たな戦いの火蓋をと、男子部第1部隊長として必死に活動。更に教育参謀、文京支部の支部長代理として……。第2回男子部総会には目標の千人を超える大結集。
若き日、伸一が勝利の歴史を築いた荒川、墨田、大田……。そして今再び新時代を開く渾身の激励が始まる戦いが描かれている。
4月には東京・渋谷区、大田区、5月には豊島区の友らと記念撮影。富士美術館の完成。そしてヨーロッパへ、前年に引き続きトインビー博士と対談。パリ大学ソルボンヌ校訪問など世界平和の旅は続く。こうした模様も綴られている。
【緑野の章】ブロック幹部を中心とした東京各地の記念撮影に一区切りをつけると、伸一は、各方面各県の強化に力を注いだ。特に、あまり訪問できない地域に光を当てて奔走。平和旅から戻ると、6月には福井県武生市の県幹部会に出席。“妙法による郷土のルネサンスを”と渾身の指導。広布の新展開を目指し、県長制の導入を提案。前年に静岡長、福井長などが任命され順次各県にも。この年の9月には全国的に布陣が整い、地域広布は大きく加速していった。この間、6月に岐阜県幹部会、同文化祭に出席。伊香保で行われた群馬・高原スポーツ大会に出席。25日には北海道・函館に飛び「大沼湖畔・懇親の夕べ」などに出席。各県の特色を生かした広宣流布の歩みが始まった。一県一県をいかに飛翔させていくかが、最大のテーマ。
郷土を人材の緑野に! 伸一は行く先々で探照灯の如く人材を見つけ、地域の底力を引き出す熱き行動の姿が描かれている。